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DCモータのドライバとは
モータには、単純に電池につなげば回るものもありますが、複雑な信号を入力しないと回らないものが存在します。こういったモータを回すためには、モータードライバが不可欠です。モータードライバとは、モータを効率的かつ正確に制御するための回路で、モータの種類に応じてさまざまなものが存在します。電池のみで回るモータも、ドライバを使うことによりさまざまな制御が実現可能となります。モータの性能を引き出し、最大限に活用するためにはドライバが必要不可欠な存在です。
モータに合わせたドライバを、ユーザ側で自社開発することは可能です。しかし多くの場合、モータメーカがモータとセットでドライバを販売していますので、特別理由がない限りは、メーカが販売しているドライバを使う方が開発コストも省け、利点が多いです。
DCモータードライバの主な役割
電圧・電流の供給
ドライバを使う場合、モータへの電圧・電流の供給は、ドライバを介して行われます。モータの速度制御は、モータに印加する電圧、流れる電流の調整によって実現しているため、この役割はある意味当然ともいえます。とはいえ、モータドライバを動かすための電源が必要ですので、ドライバがあれば電源は不要、というわけではありません。ドライバが適切に動作するスペックに見合った電源の用意が必要です。
速度制御
モータの回転速度を可変させることができます。モータやドライバの性能によって、回転数の可変範囲は異なります。ドライバさえあれば、どんな回転数でも実現可能というわけではなく、システム設計時にスペックを確認しておくことが大切です。
モータはその構造により、低トルク型・高トルク型、高速回転型・低速回転型などの特徴を持っており、その特性に沿った可変領域が存在します。求める回転数に見合ったモータ・ドライバの組み合わせを選定する必要があります。
回転方向の制御
ご存じの方も多いと思いますが、モータは電流の流れを逆にすることで、回転方向を反転させることができます。ドライバは、この電流の流れ方向の制御ができるため、逆回転を行うことも可能です。ただしモータの中には、逆回転に対応していないものも存在します。
逆回転が求められるシステムにおいては、ドライバはもちろん、モータの仕様をしっかり確認しましょう。実際のところ、逆回転非対応のモータの中には、ドライバによって逆回転できてしまうものも存在します。
しかし逆回転が想定されていないモータですので、運転時に急停止、内部の異常発熱、振動発生など、不具合につながる可能性が高いです。そのため、メーカの想定外の仕様は避けた方が賢明です。
ブレーキ制御
電流の流れを制御できるので、ダイナミックブレーキや回生ブレーキと呼ばれるブレーキ機能をもたせることもできます。電流制御によるブレーキは、機構部品を必要としません。そのため、システム設計終盤にブレーキ機能の追加が必要になっても、追加スペースを用意することなく実装可能です。
ドライバ内の電子部品の追加が必要な場合がありますが、ほとんどの場合は数点の部品追加や、制御プログラムの改変で済むため、大掛かりな設計変更が発生することなく実現可能です。システム設計時に頭に入れておくと、いざというときに柔軟な対応が可能です。
保護機能
モータの電流値や回転数、場合によっては内部温度を監視する機能を持ったドライバも存在します。これらの監視機能により異常を検知することが可能です。
たとえば、モータの回転軸が何らかの外乱によりロックされた場合。保護機能が備わっていないと、回転を促すために大電流が流れ続け、その結果内部コイルが異常発熱、最悪の場合火災につながる恐れがあります。ドライバは、こういったことを事前に防ぐ保護機能としての役割を果たせます。
DCモータードライバの種類
Hブリッジドライバ
DCモータードライバにおいて、最も基本的な回路構成を持ったドライバです。「Hブリッジ」という名前は、回路構成がH字形に見えることから名付けられています。
この回路は、トランジスタやMOSFETで構成される4つのスイッチによって実現され、スイッチのON・OFFを適切に操作することで、モータへの電源供給を制御します。4つのスイッチのON・OFFの組み合わせを変更することで、正転・逆転・ブレーキを実現できます。
また、ON・OFFを高速で切り替え、ON時間をコントロールすることで印加電圧を擬似的に可変し(これをPWM制御といいます)、回転速度の制御を実現しています。非常に汎用性が高く、小型から大型モータまで幅広く利用されています。
ステッピングモータードライバ
ステッピングモータは、電源につなぐだけでは回すことができません。モータに設置された複数の端子に、順番にパルス信号を与えることで、初めて回転できます。すなわち電子回路(=ドライバ)が必須のモータです。
ステッピングモータは位置制御を得意とするモータと言われますが、この特徴を発揮するためには、トルク、ステップ角、電流などのコントロールが不可欠であり、これは専用ドライバなしには実現できません。
近年3Dプリンタにステッピングモータが搭載され、3D造形が身近になってきていますが、この技術を実現しているのは正にステッピングモータードライバであり、モータの動きを滑らかに制御する技術の賜物といえるでしょう。
ブラシレスDCモータードライバ
ブラシレスDCモータも、ステッピングモータと同様にドライバが必須のモータです。ドライバの主な役割は、ブラシ付きDCモータにおけるブラシ・整流子の役割と同じです。
コイルに流れる電流の向きをタイミングよく切り替える機能を、ドライバが担っていると考えると、ブラシ付きDCモータとの違いがよく分かるかと思います。単純に回転させるだけなら、ドライバの機能はこの電流の切り替えのみとなりますが、これに追加して、先に挙げたようなさまざまな役割をもっているドライバがほとんどかと思います。
サーボモータードライバ
サーボモータは、位置・速度・トルクを精密に制御できるモータです。ステッピングモータも、位置制御に特化したものですが、違いは「外部からのフィードバック信号をもとに動作を調整する」という点にあります。この機能をドライバが担っています。
例えば、自動組立ロボットにおける、自動ネジ締め装置を考えてみましょう。ネジ締めモータへの「司令」とその「結果」にズレが生じたら、どうなるでしょうか。「司令として出したネジ締め付け力」に対し、「実際の締め付け力が下回った」場合、出荷後にユーザが使用中に部品が外れてしまう、といったことが起こり得ます。致命的な事故につながる恐れもあり、起きてはならない事態といえます。
こういったことが起こらないようにするためには、ネジ締め時の締め付け力を測定器で検知し、司令値を満たしていることを確認しながら組み立てを実施する、といった動作が考えられます。これはまさに、「外部からのフィードバック信号をもとに動作を調整する」ということであり、サーボモータによって実現が可能です。
サーボモータは、ドライバと一体となっており、切っても切り離せない関係にあります。
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