ECMO治療器への高性能BLDCモータの採用事例

泉工医科工業株式会社様が手がけるECMO治療器の人工心臓ポンプモーターにおいて、従来のDCモータが抱えていた課題を解決し、患者様により快適な治療環境を提供することに成功した事例をご紹介します。

お客様が抱えていた課題

医療・介護機器において、モーターの性能は機器の信頼性と患者様の快適性に直結する重要な要素です。泉工医科工業株式会社様は、ECMO治療器の開発において以下の課題を抱えていました。

  1. 騒音による患者様のストレス
    • 従来のDCモータによる騒音が、介助・介護を必要とする患者様へ大きな負担となっていた
    • 単なるデシベル値だけでなく、音質面での改善も必要とされていた
  2. 電気ノイズの影響
    • DCモータのカーボンブラシと整流子の摺動によるスパークが電気ノイズを発生
    • 精密医療機器の動作に悪影響を及ぼす可能性があった
  3. 性能要件との両立
    • 静音性を確保しながら、特定のトルクと回転数を実現する必要があった
    • 医療機器としての高い信頼性も求められていた

当社が行った解決策

以下のアプローチで課題解決に取り組みました。

  1. ブラシレスモータの採用
    • 電気ノイズの原因となるブラシと整流子の摺動部分を排除
    • 基本的な騒音レベルを低減
  2. 音質設計の最適化
    • デシベル値だけでなく、音質面での改善を実現
    • 患者様の快適性を考慮した総合的な静音設計
  3. 共同開発による最適化
    • お客様との密接な協力関係のもと、要件に最適化された製品を開発
    • 開発期間中も継続的な改良を実施

導入後の成果

  1. 静音性の実現
    • モータ動作音の大幅な低減を達成
    • 特に気になる音域での騒音を抑制
  2. 動作精度の向上
    • 部品の改良により、より精密な動作を実現
    • 医療機器として求められる高い信頼性を確保
  3. 量産化の成功
    • 血液循環ポンプ用BLDCモータの安定的な量産体制を確立
    • 継続的な供給による医療現場への貢献

本事例は、技術的な課題解決だけでなく、患者様の治療環境改善という社会的な価値も実現した好例といえます。今後も医療機器メーカー様との協力関係を深めながら、より良い医療環境の実現に貢献してまいります。