高出力モータとは

高出力モータとは、その名の通り、高い出力(パワー)を持つモータのことを指します。出力とは、モータが単位時間あたりに行う仕事の量のことで、通常ワット(W)またはキロワット(kW)で表されます。高出力モータは、多くのエネルギーを機械的な動きに変換する能力があるため、大規模な工業機械、交通機関(電車や電動バス)、建設機械、または電動自動車など、大きな力が必要とされる応用に使用されます。

高出力モータの種類

高出力モータと一言で言ってもいろんな捉え方がありますが、大きく分けて2種類になるとユニテックでは考えています。

  1. 体格(モータサイズ)の割に高トルクが出せる物
  2. 体格も大きくトルクも回転数も優れた物

後者の物については、言わずもがなという物なので、前者について少し深掘りを行います。
例えばユニテックのサンプルモータで比較すると以下のとおりとなります。

(例)モータ種類:DCBLモータ ※ブラシ付きでも考え方は同じです
共通条件:DC24V入力 定格回転数3,000rpm

DTBL-2730モデルDTBL-5046モデル
定格出力:80W定格出力:300W
定格トルク:0.25Nm定格トルク:0.98Nm
定格電流:4A定格電流:16A
サイズ:φ60×L68サイズ:φ103×L117
DTBL-2730モデル
BL5046モデル

この2つのモータがあった場合、電流値とトルク値が異なるため、比較が出来なさそうですが、ここで重要になるのが、「トルク定数」という物です。トルク定数は、単位電流に対しての発生トルクを指します。この値が大きい程少ない電流で大きなトルクを得ることが可能です。

2730モデルの場合・・・0.068Nm/Armsとなります。
5046モデルの場合・・・0.071Nm/Armsとなります。

若干ですが、5046モデル方が定数は高いため、より出力が高いことが分かります。このトルク定数が高ければ高い程高出力(高トルク)モータとして優れていると言えます。
(一概には言えませんが、ここではそのように定義します)

では、このトルク定数を高めるためには何をすればよいでしょうか?

トルク定数を高めるための方法

方法は、幾つかあり以下の方法があり、セミカスタムモータをメインにしているユニテックでは以下の方法を用いています。

  1. 磁界の強化
  2. 巻線設計の変更

まず、「磁界の強化」ですが、

例に挙げたDTBL-5046でお話しすると、希土類を使用した強力なネオジ焼結マグネットを使用することで、トルク定数の大幅な改善が出来ます。上記と同様の条件下で強力なマグネットにすることで、トルク乗数を「0.090Nm/Arms」にまで改善することが可能です。

巻線設計の変更

次に「巻線設計の変更」ですが、巻線のターン数・線径・パラ数を変化させることにより、トルク定数を向上させることができます。上記のDTBL-5046の例で行くと、ターン数を増やして、線径太く、パラ数を増やす等することで、トルク定数が「0.095 Nm/Arms」まで増やす事が可能です。

しかし、磁界の強化や巻線設計の変更でトルク定数が改善されてもそれはモータ特性に変化が発生する改善になります。最大回転数の低下や効率的な動作点の変化などが発生します。そのため、元々の「定格回転数3,000rpm」は維持できなくなってしまいます。その点がモータ設計の難しいところでもあります。巻線設計の変更場合、回転数が2,000rpm程度まで落ちてしまいます。モータとしてもバランスの悪い状態になります。

上記のことが発生するため、モータのサイズを変更しバランスよい変更を行い目標の性能に落とし込みを図ります。

高出力モータの開発・製造ならユニテックへ

ユニテックでは、ご提示頂いた希望スペック(回転数・トルク)から設置可能なスペースにあったモータをセミオーダーで設計致します。モータの特性上限界がございますが、セミオーダーだから出来る柔軟性ある設計で希望のスペックを実現することが可能です。ぜひお気軽にご相談ください。